ミルフォードサウンド・オーバーナイトクルーズ
''Cruising in Milford Sound''
内容 | クルージング(途中シーカヤック経験も可) |
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場所: | 南島 フィヨルドランド国立公園 Milford Sound |
スタッフの体験レポート
ミルフォード・サウンドには、もう何回行ったんだろう。 ニュージーランドの観光地の中でも、一番人気がある場所のひとつです。 「世界で一番綺麗な散歩道」という呼び名が高いミルフォード・トラックの終点地でもあります。 今回は、そんな神秘的なミルフォード・サウンドをオーバーナイト・クルーズで楽しんじゃいました。 午後4時過ぎに、埠頭に停泊しているMilford Marinerに乗船します。
部屋に入る前に、船長からクルーの紹介、そして安全面の注意等があります。 もう随分となれた感じで、とてもアットホームな感じでした。 このとき配っていただいたマフィンがすごく美味しかったなぁ。 サンタクロースみたいなおじちゃんが、救命器具の使い方を説明してくれました。 マイク無しでも、よく通る声でした。
埠頭を出ると、すぐ右手に見えるBowen Fall(ボウエン・フォ-ル)。 高さが160m。昨晩、そして今日もたくさんの雨が降ったので、凄い量の水が流れ落ちてきています。 160mってどのくらい? 下の写真も同じくボーウェン・フォールです。 水面に浮かぶ観覧船、100名以上が乗船できる大型船です。 なんだか、ほんとうにちっちゃく見えますよね。 160mって高いんですねぇ。
知っていましたか? ミルフォード・サウンドは、「サウンド」ではないんです。 「サウンド」とは、川が時間を掛けて山を浸食して出来た地形ですが、ミルフォードは、氷河が削った地形で、正確には「フィヨルド」と呼ばれる地形なんです。 だから、この付近のことを「フィヨルドランド国立公園」と呼ぶんですね。 ニュージーランドで一番大きい国立公園で、世界自然遺産にも指定されています。
ミルフォード・サウンドは、ニュージーランドの西にあるタズマン海に流れ込む奥行15kmのフィヨルド。 両岸には、海面からそそり立つ山としては世界最高(1682m)のマイターピークを始め、1000mを超えるピークがいくつも聳え立っています。 その間に、静かに陽が沈んでいきます。柔らかな光です。 昨日から今日にかけての雨のお陰で、すごい勢いで滝が流れ落ちています。 水深も深いので、大型船でも滝のこんなに近くまで接近できるんです。
船は、今晩の停泊地、Harrison Cove(ハリソン・コーブ)に到着しました。 鏡みたいな水面に、うっすらと闇が降りてきています。 辺りが闇にくるまれる前に、ちょっとだけ水遊び。 シーカヤックをデッキから下ろして、Cove(入江)の中を漕ぎます。 日中は忙しく往復していた観光船ももう埠頭に戻ってしまいました。 聞こえるのは、滝の音と、遠く聞こえるベルバードの鳴き声のみ。 そうそう。私達の船から楽しそうなみんなの笑い声も聞こえてきました。
まわりに聳え立つ山々は、錚々たる威厳を放ちながらも、優しく静かに包んでくれる優しさも湛えています。 パドルからしたたる水滴の音さえも聞こえてきそうです。 うっすらとした雲が山頂から、闇と一緒に降りてきました。 そろそろ船に戻らないとね。
旅の楽しみのひとつは、もちろん食べること。 優子も、やる気まんまんです。 あれ?このひげのオジサン、どこかで見たことあるなぁ? ラムも、ビーフも、本当に美味しかったんです! そのうえ、こんなに豪華なサラダバーもあるんですよ。 デザートも・・・ 全部教えちゃったら、つまらないですよね。 ワインも美味しくて・・・素敵な夜は、どんどん更けていきます。
私達は、アメリカから来たリタイアされたご夫妻、PaulとCarolと一緒のテーブル。 ワインを3本!空ける間、ずっとお話していました。 Carolが、歳に似合わず、滅茶苦茶お茶目で。たくさん笑わせていただきました。 でも、もうそろそろ酔っ払ったみたい。 ファァァァ・・・・ Good night! See you guys tomorrow.
朝一番、デッキから見える景色はまだ薄暗く。 目を凝らして見えてきたのは、サウンドの入り口。 両岸には、まだいくつもの滝が、白いしぶきを立てながら、数百メートル下の海面へと落ちてきています。 ようやく空もうっすらと明るくなってきました。
私達は、北の入り口を超え、荒くれた海で有名なタズマン海へと帆先を進めます。 ミルフォード・サウンドの中は、あんなに落ち着いた海だったのに。。。 タズマン海に出たとたん・・・ 今日は、これでも大人しい海ということ。 2m程度の波でしょうか。結構エキサイティングでした。
この沖80km程度の地点で、一人のシーカヤッカーが昨年8月に行方不明になりました。 オーストラリア人の彼は、タスマニア島を出て、1500km彼方のニュージーランドを目指して漕ぎ続けました。 ゴール地点としていたミルフォードサウンドのほんの80km手前で消息が途絶え、そしてその数日後探索していたCoastal Guideの手で、カヤックだけが発見されました。
でも、その後、今年1月に同じくオーストラリア人の若者二人組みによって、この海峡横断が達成されました。 Crossing the Ditch 文句なしに、素晴らしい偉業です。
船は、静かなサウンドのなかに戻ってきました。 雲も晴れ渡り、山々も顔を出してきたようです。 秋も深まってきたので、山頂には雪が積もってきています。 これから、この地方は厳しい冬を迎えます。
毎年50万人以上が、世界各国から訪れるミルフォード・サウンド。 私達も、何回も訪れましたが、いつ来てもまったく違う表情です。 やっぱり綺麗なものは、綺麗です。 私のデジカメで撮っても、カレンダーの写真みたいですね。 オーバーナイト・クルーズ、とってもお薦めです。
(2008年4月 藤井 巌)